技 術 technology
FRCとは、劣化した鋼管やRC「鉄筋コンクリート」を容易に修復する繊維系材料で繊維の緊張力とコンクリートの圧縮力の複合材料です。
FRC「fiber reinforced concrete」繊維強化コンクリートといいます。
FRCにはFRC袋状材料とFRC板状材料の2種類があります。
FRCバルーン開発
●衝撃吸収体の技術
「衝撃加速度試験」 サンプリング周期:1/200,000(秒)
ガードレール同等の衝突安全性の確保と車両衝突時の乗員の保護と車両の損傷の軽減が必要です。
開発には、自社保有の衝撃加速度試験機にて1/20万秒で計測します。
FRCは衝突エネルギー(GJ)を速やかに減衰させて乗員の損傷を軽減する技術です。
300kgのウエイトが支柱に衝突すると、従来のガードレールよりもFRCは衝突エネルギーを36%緩和します。
また、FRCは無劣化材なので、既存ガードレール(鉄)よりも安全性を長期間に渡り維持します。
FRCハイキン開発
●超高弾性織物の技術
イザナス®のような、スーパー繊維のもつ性能を限界まで引き出す織物加工技術です。左グラフはイザナス®の加工前と加工後の破断伸度(張力を加えて繊維が切断するまでの伸び)を計測したものです。原糸(無加工)の破断伸度は約4%ですが、加工後の伸度は3.5%となっています。原糸の伸度以下に加工することは大変難しい技術と言われます。これは、糸を織る際に糸間に隙間がどうしても、生じます。それに張力を加えると、必然的に織物は伸びます。伸びは、弾性率(物質の変形のし難さ)と同じです。例えば、市販の補強用の織物は破断伸度は15~20%あり、鉄筋は8%ほどです。右図のRC梁に破断伸度、辺りの変形量を示してみました。FRCは140ミリですが、鉄筋で320ミリ、汎用織物は600ミリも変形します。このように原糸の強度が高くても、伸度が大きいと、地震時に躯体の変形量が大きくなるので耐震性を損なう原因となります。FRCハイキン材には、緊張加工を施すことで変形を抑制する、繊維技術が導入されています。
●定着力の技術
前項では、繊維の破断伸度は、躯体の変形量に大きく影響する事を学びました。しかし、定着力が不足すれば、繊維は破断する手前で滑ってしまいます。FRCは、左図のような、スリット配筋構造によって、高い定着力を生んでいます。スリット配筋は、コンクリートカブリに配筋するので多くのメリットがあります。第1に、カッターでコンクリートを切るので、ハツリによる振動でのコンクリート損傷がありません。第2に、重い鉄筋も、ポリマセメントも無いので、河積阻害も自重の増加もありません。第3に、FRCは鉄筋以上の定着力(接着力)により、コンクリートと一体化するので、大きな補強効果を生みます。例えば、図のように、FRCハイキン材は、長期で9N/㎜2の大きな定着力を生みますが、鉄筋は3.2Nです。異形リブの凹凸での摩擦力とセメントの接着力の合算によるものです。繊維シート張りは1.8Nとなります。繊維シートは、コンクリートに両側から挟まれる(バインディング力)がなくシート剥離が起きるからです。よって、スリット配筋の高い定着力は、バインディング力と接着力によるものですが、更に樹脂の凝集破壊を防ぐことで、せん断接着力を高めた結果です。※コンクリートはFc=21N/m㎡で評価
●FRC薄膜化の技術
上図、タテ100㎜×ヨコ100㎜×長さ600㎜のコンクリートを用いた試験では、無筋コンクリートが10.37kN(1トン)、鉄筋コンクリートが異形鉄筋D10を1本で、24.06kN(2.4トン)、FRCコンクリートが厚さ1ミリ×高さ15ミリを1本で25.38kN(2.6トン)となりました。この試験では、せん断筋が入っておらず、終局は、せん断破壊となりますが、曲げ強度の評価には十分な結果となります。例えば、FRCは鉄筋断面積、71.3 ㎟ に対して、15 ㎟と、約1/5の断面積でありながら、最大強度は鉄筋を超えています。弾性率は鉄が205(14,616)Gpa、FRCのイザナス©は123(1,845)Gpaとなるので、1/8の弾性率なのに、同等の曲げ強度を引き出すのは、前段で説明した、繊維の破断伸度と定着力によるものです。